良寛さまと雀
良寛さまがたくはつしてもらったお米を、鉢の子に入れて持って帰る途中、よく雀がとんできて、その鉢の子にとまっては、お米をたべさせてもらうことがありました。
しかし、良寛さまは雀を追うことなんかしませんでした。雀の方でも少しも良寛さまをこわがりませんでした。そして良寛さまの手にとまったり肩にとまったり、また手に持った鉢の子にとまったりして喜んでいました。
ある日、良寛さまは、道ばたに咲いていたすみれの花をつんでいるうちに、お米のいっぱい入った鉢の子をそこに置き忘れました。
しばらく歩いてからそれに気がついて戻って来ますと、一人の男が「良寛さま、これあなたのでしょう」といって持ってきてくれました。
しかし、その中にあったお米も、銭もなくなっていました。それでも良寛さまは少しもそんなことを考えず、「おお、あったか。ありがとう、ありがとう。」といって、その空の鉢の子を抱くようにしてよろこんで帰って行きました。
出家したお坊さまの、衣と鉢はとても大切なものですけど、その鉢さえ忘れてしまう、鉢の中にあったものも、どうでもいいんでしょうね。
雀にも好かれていますね。
やはり良寛さまは一味違います。
地方では、駐車場の片隅にコイン精米機というのがありまして、家族で必要な分をコインを入れて玄米を精米して白米にします。
私もやります。
プレハブの小屋みたいな中にコイン精米機があって、そこで行います。
精米しながら、小屋の床に散らばった米を箒で掃き出してきれいにしているのですが、
やっていると、小屋の周りに雀がやってきます、雀は目がすごくいいです。
あっというまに集まります。
よく見ると、雀はかわいいですね。
精米したお米を手に取って、撒いたりしたりします。
肩や手にはとまってくれませんが、生き物と仲良くしてる、と感じたりしています、たぶんこちらが一方的に感じているのでしょうけど、でも、悪い気はしません。
生き物をかわいがって、でも、なんにも執着しないで・・・。
良寛さまと同じ境地にはなれませんが、少しでも近づいた気持ちになればいいです。
下記の本から引用しました、絶版になって、もう無いみたいです。