タイトルに釣られて、キンドルで読みました。
いつも仏教書ばかり読んでいるので、こういう本は久しぶりです。
第一印象は
「なんと読みやすいんでしょう」です。
上手に読者を引っぱるテクニックはさすがです。
「機嫌」はもともと大乗仏教からきた言葉みたいですね。
下記に由来があります。
「人のそしりを嫌う」というところから始まっているようです。
人に嫌われない行為をしなくては・・、ということですね。
ちなみに、不機嫌というと、貪瞋痴でいうところの「瞋」になると思います。
「瞋」すなわち「怒り」の状態なんですね。
『不機嫌は罪である』としながらも、不機嫌になる理由については書いてありません。
本では「日常生活で、こういった不機嫌な人を見かけますよねー」という感じで、軽く流していきます。
でも、不機嫌とは何ですか、何で不機嫌になるのですか?
不機嫌=貪瞋痴=ストレスと考えるとわかりやすいかもしれません。
ストレス=貪瞋痴
で、なぜ貪瞋痴が起きるのですか?
人間は貪瞋痴で生きているので、こればっかりは付いてまわります。
貪瞋痴の痴はべつに置いて、貪瞋(欲と怒り)に関するわかりやすい説明があります。
チエリさん、ありがとうございます。
thierrybuddhist.hatenablog.com
「これはいい」と受け入れるのは欲で、「これはちょっと避けたい」という感情が起きたら「怒り」なのです。もともと持っている感情です。
不機嫌というのは「避けたい」という「怒り」の感情なのでしょう。
避けたいと思うのは自由ですが、露骨にその感情を表に出すんでしょうね。
そしたら、人から嫌われるか、距離を置かれてしまいますね。
本書では、人が不機嫌になる理由はさておいて、不機嫌になった場合の不利益を徹底的に説いていきます。
この部分では、齋藤先生、すごいです、さすがです、現代をよく見ていると思います。
昔は、家長が偉く、上司も威張っていて、不機嫌が時代を回していましたが、現代は、もうそうではない、現代社会では、不機嫌だと大損します、大変な不利益を被ります。
仏教も、貪瞋痴で行動すると、現代社会では大変な不利益を被りますよ、齋藤先生の説明をマネしてもよいのでは・・・と思うくらい良かったです。
不機嫌の根本理由を示さず。
でも、不機嫌(貪瞋痴)でいることの不利益を説き。
上機嫌になれるトレーニングを説きます。
根本的に貪瞋痴は消えないけど、上機嫌のトレーニングを積むことで、心の暗さと取ろうとしているのでしょう。
上機嫌になれば、日常生活、とくに職場で、ご利益があります、と説明します。
貪瞋痴の根本原因から目を離して、とりあえず、手っ取り早くご利益を得るには、いいかもしれません。
でも、不機嫌の根本原因をすっとばして上機嫌のトレーニングやテクニックを学んでもなあ・・。
上機嫌になるトレーニングに齋藤先生が好みの音楽や映画の話がでてきましたが、これは要らなかったです。
本書の不機嫌のデメリットを説く部分は、仏教の貪瞋痴のデメリットとして捉えるべきですね。
勉強になりました。
生きとし生けるものが幸せでありますように。